2017年8月19日土曜日

カミヤとプリンとさみしさと。

子供のころの、お友達と遊べなかったり、親が迎えに来てくれなかったり、という寂しさとは異質の、大人の寂しさっていうのがあるんだよね。

大人になると、たくさんのひとと出逢う。
わたしはひとが大好きだから、ひとと出逢うことは、極上の幸せだ。
その気持ちに微塵の嘘もないのだけれど、
ときどきふと、
得も言われぬさみしさに囚われることがあるのだ。

ひとり誰かと出逢う度に、ひとりひとりとの濃度が、薄まってしまうのではないか、と。

実際はそんなこと、杞憂に過ぎないのだろうけれど、
旧友たちとの時間が少なくなってゆく現状に、少し、悲しくなることも事実で。
本当に大切にしたい人たちとの時間を削って、安らぎの岸辺を離れて、
頼りなくおんぼろな小舟にひとり乗り込んで、
わたしはいったいどこまで流れてゆくつもりなんだろうか、と。

ひとと出逢うことに疲れた日、カミヤへ行った。
カミヤは、浅草の、神谷バーのレストラン。

ここにはいつでもひとがいっぱい。
昼ひなかから盛大に酔っぱらってるおじちゃん。お喋りに花咲かすおばちゃん。
もくもくと美味しそうに食事をする、おにいちゃん。
そして、缶詰のミカンとパインの飾られたプリンに癒される、わたし。

ひとに疲れて、人込みさながらの店へ行くなんて、あべこべのようだけど。
ここにいるのは、みんな、知らないひと。知り合いではない、ただのひと。
わたしと、同じ。
愛しき同胞。
みんなさみしさを抱えてるけど、こんなに楽しそうに、笑って、生きてく。

それで、いいんだ。

2017年8月7日月曜日

読書crazy㉓ 女性のフォトエッセイ×2


〈左〉「モノは好き、でも身軽に生きたい。」本多さおり (大和書房)

きりりとしていますね、考え方が。
そのきりり感が、ご本人の美しい佇まいにあらわれているところにも、とても共感。
一本筋が通っている。


〈右〉「五十になるって、あんがい、ふつう。」岸本葉子 (ミスターパートナー)

このかたの、まじめで、ふつうな生活感覚がとても好き。
ふつうのなかに垣間見えるユーモアと、かわいらしさもまた、とても好き。
ふつうでない人がふつうでいることは知性だなと、
岸本さんの文章を読むといつも思う。



前者はソファで、後者はベッドで、が気分です、なんとなく(笑)。





2017年8月3日木曜日

魔法の棚そうじ

以前の職場に、不思議な(?)棚がありました。

わたしが掃除を担当する棚は3か所あったのですが、そのなかのひとつが、お気に入りで。

どういう訳か、その棚を掃除していると、とても心が落ち着いてくるのです。
他の2か所については、全くそんな気が起こらないのに(笑)。

閉店間際、お客様も引けて独りきりでその棚を掃除する時間が、わたしは大好きだった。
悲しい気持ちが癒されたり、嬉しい気持ちが沸々湧き上がってきたり、
なんだか納得出来なかったことが、すとん、と腑に落ちたり。
ふわふわハンディモップを片手に、こころの埃もいっしょに払っていたのかな。

魔法の棚さんとのお別れは、いまでもちょっぴり残念。
心がアップセット気味なときは、無性に恋しくなったりします。

ここ最近すこし時間的な余裕が出来、
以前よりもこまめに自室を掃除するようになりました(ずぼらまいこ、どうした(笑)!)。
なににせよ、掃除にはやはり、心まで清める効果があるなぁと実感します。
きれいを維持できるのは、とても幸せ。

あのときの気持ちを思い出しながら、さぁ、今日もせっせと手をうごかしましょう。

2017年8月1日火曜日

読書crazy㉒ 「東京公園」

可愛らしい青春小説に出逢いました。
可愛らしいというのは、主人公含む20代のワカモノ達だけではなく(笑)、
彼らを取り巻く、すてきな大人たちへの賛辞でもあり。

主人公の圭司くんは、カメラマン志望の大学生。
ひょんなことから年上のサラリーマンと出会い、
年若い妻の行動を追いながら、こっそり写真を撮り続けてほしいという、
おかしな依頼を引き受けてしまいます。

被写体となる人妻・百合香さんをファインダー越しに見つめ続けるうち、
彼女に恋心を抱くようになってしまった圭司くん…。

心優しい友人や家族。さり気に見守ってくれる、周りの大人たち。
彼らとの触れ合いの中で揺れ動いた末に出した圭司くんの「結論」が、響きました。

〝自分のために生きることと、誰かのために生きることは、別に相反するものじゃない”…

「一緒に生きていくということなんだと思うんだ。暮らしていくのは別になってしまうのかもしれない。それぞれがそれぞれの場所で他の人と暮らしていくけど、生きていくのは一緒。だから、幸せな方向に向かっていってほしい。会ったときにいつでも、なんていうか、いつも通りに過ごしていたい。」

強いな。
そして哀しくて、切なくて、可愛い。

この物語の登場人物たちは皆、切なくて、可愛い。
人間らしい。

なにかに迷ったとき、ふと思い出して読んで頂けたら嬉しい1冊です。
きっと「幸せな方向」に、背中を押してくれるのではないかしら。

「東京公園」小路幸也 (新潮文庫)

2017年3月10日金曜日

燐寸のざらざら

燐寸(マッチ)は、ひとりぼっちでは、火をつけられない。
燐寸箱の横っちょにあるざらざら、あれがないと。

地味だけど、主役じゃないけど、やつが居なきゃ、仕事にならん。

恰好良いなぁ、燐寸のざらざら。