『考えても答えなど見つかるはずがなかった。頭でわかることなど、ほんのわずかにすぎない。~中略~
絵を描いているうちにだんだんと理解できるようになる。それこそカイが何かを考えるときの方法で、たくさんの紙と鉛筆、キャンバスと絵の具、そして時間を必要とするのだった。』
石田衣良さんの小説「オネスティ」のなかで見つけた一節。
わたしにとっての描くことは、まさにこんな感じかも知れない、と思いました。
絵を描くことは、楽しいけれど、その3倍くらい苦しいです(笑)。
でもじゃあなぜそんな苦しいことを仕事にしているのかといわれると…
その答えが、これなのかなぁ、と。
好きとか嫌いとか、もうそういう事ではない。
絵を描く作業の中でしか出てこない答え、腑に落ちてこない難題が、いっぱいあるから。
筆を動かす手が、
あぁ、あれってこういうことだったんだ。
あのときのあの人の言葉には、こんな思いが隠されてたんだ。
あの出来事には、こんな意味があったんだ。
行くべき道は、あっちなんだ。
いろいろなことを教えてくれる。
感動も、涙も、感謝も、
描く作業を経てやっと、しっかりこころに落とし込まれてゆき、定着し、わたしの一部になる…
そんな感覚。
だから、絵だけは、描き続けているし、描き続けてゆくのでしょう。
ゆっくり、じっくり、延々と。
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