2014年5月26日月曜日

日曜小美術館97.甘~い小美術。

昨日は、クライアントさんの珈琲店へおじゃましました。

今回、ドリップコーヒーパックのイラストを担当させていただいたのですが、
店主さんはいつかコーヒーに合うオリジナルスイーツを創ることも、夢なのだそうです。

楽しそうに夢のお話をするときのお目々が、子供のようにきらきらと輝いていらしたから、
きっといつか、こだわりの逸品を創ってくださることでしょう...その日が、楽しみです!



そんなお話から...
今回は、わたしの大好きな喫茶店の、珠玉のスイーツたちをご紹介。

わたしの好みは、”喫茶店”。
おしゃれで今どき風な”カフェ”は、ちょっと苦手かな(笑)。

個性あふれる喫茶店。くつろぎかたも実にさまざま。
それぞれの空間で疲れを癒すひとたちの、恍惚の表情。

そんなとき、こころづくしのスイーツは、まさに小さな美術品...。

★”紅茶の店・庵”の「ブランデーケーキ」 http://www16.ocn.ne.jp/~ihori/
お馴染みの、庵さん。定番ケーキは本当にどれも大好きだけれど、
あえてまいこ的ナンバーワンを挙げるとしたら、これかな。
限りなくシンプルで、大人の味。合わせる紅茶は、ルフナが好きです♪
1週間程前に注文しておけば、1本買も可能。贈答用にも愛用させていただいてます。



★ ”カフェ・バッハ”の「ダックワース」 http://www.bach-kaffee.co.jp/
ダックワースは、つい先日はじめていただいたのです。...うなりました。
コーヒーのお味、接客のあたたかさ、そして、このお菓子。隅々まで、魂入ってます!


★”アンヂェラス”の「エクレア」 http://www.asakusa-noren.ne.jp/shop/angelus/index.html
こちらに伺うときは、たいてい浅草中を歩きまわった後。
へろへろに疲れ切った、からっぽの胃袋にひんやりとしみわたってゆく食感を、愛して止みません。
場所柄、超混雑店のため長居は禁物(笑)。それでもほんの束の間、芯から癒してくれるお味です。


★”グレース”の「モンブラン」 http://tabelog.com/tokyo/A1319/A131907/13006640/
武蔵野界隈でお時間ができたときは、ひとり秘かにこのお店に行くのが楽しみ♪
はじめて訪れた時、モンブランのあまりの美味しさに感動しました。
それから約20年後、たまたま近くを通りかかったら...昔とちっとも変らない佇まいとお味で、心のからのおもてなしをして下さいました。凄いことだと思います。


★”3+7(サンタナ)”の「シュークリーム」 http://tabelog.com/chiba/A1205/A120501/12014071/
故郷の名店。ここのシュークリームを超えるシュークリームには、おそらく生涯出逢うことはないのではないかしら。「もし、明日世界が終わるなら、最後に3+7のシュークリームを食べてから死にたい!」が、昔からの口癖になっているくらいなのですから(笑)...。


((+_+)):追伸:((+_+))


日曜日はバタバタだったため...
更新、1日遅れて”月曜”小美術館
となってしまったこと、お詫びいたします。
申し訳ありませんでした!!





2014年5月21日水曜日

そしてわたしは、途方に暮れる

気がついたら、鼻歌を歌ってた。

こどものころ、姉が見ていた歌番組で聞いた曲。
おぼろげにしか覚えてないけど、なんだかすごくいい歌だったような。

気になりだしたら気になり過ぎて(笑)、調べてしまった。

これこれ。
...やっぱり、すっごく素敵な歌詞だ...


「そして僕は、途方に暮れる」 
作詞 / 銀色夏生  作曲 / 大沢誉志幸


見慣れない服を着た
君が今 出て行った
髪形を整え
テーブルの上も そのままに
ひとつ残らず君を
悲しませないものを
君の世界のすべてに すればいい
そして僕は 途方に暮れる

ふざけあったあのリムジン
遠くなる 君の手で
やさしくなれずに 離れられずに
想いが残る
もうすぐ雨のハイウェイ
輝いた季節は
君の瞳に何を うつすのか
そして僕は 途方に暮れる

あの頃の君の笑顔で この部屋は
みたされていく
窓を曇らせたのは なぜ

君の選んだことだから
きっと 大丈夫さ
君が心に 決めたことだから
そして僕は 途方に暮れる
見慣れない服を着た
君が今 出て行った


あぁ、なんでこの曲を、無意識に口ずさんだのか解った。
たったワンフレーズを、こころに云って欲しかったんだ。

”君の選んだことだから きっと 大丈夫さ
君が 心に決めたことだから”...

そして、わたしは途方に暮れる。

...うん、大丈夫!


2014年5月18日日曜日

日曜小美術館96・文学の中の芸術観②

街灯りは夜通しともっている。その明かりが朝霧の中にまず目覚めてゆく。
鈴蘭型の装飾灯が並んだひさご通、俗に「米久通(よねきゅうどおり)」―その通にある、そして公園でただ一軒の夜明かし店の、あづま総本店で牛鍋の朝飯を食べているうちに、ラヂオ体操の号令が聞こえて来た。
その頃は浮浪人達が活動小屋の絵看板を見る時間であるらしい。たれにも追われず、たれにもきたながられず、朝日を浴びて、彼らはしみじみと絵看板を楽しんでいる。

~川端康成 「浅草紅団」より~


昭和5年頃の浅草を舞台に描かれた川端作品のなかの、とても好きな場面です。

世の中は、一見とても不平等のように思えるけれど、
富めるものにも貧しきものにも、美しい朝は平等にやって来る。
そして、美しい芸術を楽しむ権利も、万人が平等に持っている。

新しい一日の始まりの刹那きらきらの朝日を浴びながら、
大衆アートを心から楽しみ、癒されているひとたちの
美しい笑顔と街の情景が、浮かんでくるよう。

この一節を読んだとき、ふと考えました。
もしも、大ショックなことが起きて家を飛び出したら(いい歳こいて家出...いいね、ファンキー(笑)!)、わたしは何処へ行くかなぁ...、と。

意地張りだから、誰かを訪ねる、ということはしないんじゃないかな?

とすると、たぶん、こんなふうに...

美しいものを、観にゆくのかもしれない。

気が済むまで何時間でも、穴があくほど観つくして、感じつくしたら...

きっと、また日常に還る。逃げずに、還れる。
そうありたい。

そしてわたしもまた、いつか...
そんな誰かを、”還してあげられる”大衆作品を、
描けるようになりたいのです。

2014年5月17日土曜日

三社祭

今日は、浅草の三社祭に行ってきました。

浅草に入る時はいつも、浅草寺と浅草神社(三社様)にごあいさつしてゆくのがお約束。
じつはときどき浅草寺まいりははしょってしまいますが(汗)、浅草神社だけは、必ず。
なぜだかわからないけど、好きなんです、あのこぢんまりとした、清々しい佇まいが。

祭りの熱気に、のまれました。
と同時に、自分の変化にも驚かされて。

昔は、とても冷めてて、しらけたヒトだったのですよ(笑)。
それが今では、ひとりで祭り見学にくりだし、人波にもみくちゃにされながらも、
ついつい夢中になって御神輿さんたちをおいかけているのですから...。

歳くうごとにナゼか元気になってる自分を、チョット褒めてあげよう^^。

そうそう、そういえば去年の合羽橋七夕で感じたのとまったく同じ、
http://takahashimaiko.blogspot.jp/2013/07/38in.html
祭り独特の熱気を、今日も肌で感じました。
人と人とのあいだに立ちのぼる、なにか、ものすごくあたたかい空気感。

下町の人情の、エネルギーなのでしょうか。

開業から、今日でちょうど1週間。
慌ただしかった日々の疲れからしばし解放され、

爽やかな初夏の、快晴の空の下
たくさんの元気をチャージしてもらいました。

さぁ、また明日からフル回転でがんばるぞ!!





2014年5月16日金曜日

誇りに満ちた生活。

かつてパリを拠点に活躍し、帰国後はパリ時代の経験をテーマにしたイラストエッセイを数多く手がけている大好きなイラストレーター、米澤よう子さんの本の中から、心に響いたすてきな一文。

クローゼットはミニマム。生活は無理なく無駄なく、自分らしく―。
そしてこころの波はおだやかに―。


私のパリ暮らしは、パリジェンヌのように過ごす試みから始まりました。
抱いていた華やかなイメージからは遠く、想像よりもずっと地味なものでした。


地味とはいっても、退屈でみじめなものではありません。
特別なことはないけれど、毎日の「当たり前」から、
喜び、楽しみを見いだす生活は、むしろ充実と誇りに満ちていました。


とどのつまり、
わたしの望んでる人生って、こんなだなぁと思います。

地味で 地道で 当たり前で
喜びと誇りに満ちている。

そんな日々を、積み重ねてゆくってこと―。



2014年5月11日日曜日

日曜小美術館95・ダレノタメニ、エガク

先日、以前のバイト先の係長から、こんなお電話をいただきました。

「ポスティングスタッフのFさんから、
”最近、配布するチラシを梱包してある新聞紙にイラストhttp://takahashimaiko.blogspot.jp/2012/11/blog-post_4.htmlが描かれてないけど、どうしたの?”
って聞かれたから、
”あのイラストを描いていたたかはしさんは、本業が忙しくなって退職したんですよ、
って伝えておいたよ。
Fさんが、たかはしさんに宜しくって。」

Fさんは、決してきれいとはいえない折り目だらけの古新聞にマジックで描かれた落書きを、毎週毎週楽しみにして、大切にとっておいてくださったのだそうです。

嬉しくて、胸がいっぱいになってしまいました。
Fさんのお気持ちにも、それを伝えて下さった、係長の優しいお心遣いにも。

あの梱包作業は、わたしも大好きだった仕事。
小さな落書きも、どちらかといえば、自分の楽しみで描いていたくらいで(笑)。

あまりに忙しくて、なにも描けなかった日もあったな。
めっちゃへたくそな日も、あった。
アイディアに詰まって(笑)、いつかと同じものを描いてしまったことも...。

そんなに楽しみにしていてくれた方が、いたのにね。
どんな小さな仕事も手を抜かず、いつでも、もっとちゃんと描けばよかったな...。

いろんな思いが錯綜してしまいましたが、
この出来事は、今後のわたしの、イラストレーターとしての在り方に
大切なことを教えてくれました。

”ダレノタメニ、エガク”

”楽しみにしてくれている方たちのために!!”

それだけのシンプルなことが、わたしにとって何よりの幸せなのだ、と。

...もしもこのさき、
わたしが今日のこんな気持ちを忘れるようなことがあったら...

思いっきり、げんこつで、ブン殴って下さい。













2014年5月10日土曜日

人生最強の5月10日。

開業届けは4月の大安吉日にすでに提出済みなのですが、
http://takahashimaiko.blogspot.jp/2014/04/blog-post_9.html
ひとつの区切りとして、事務所のオープン日は誕生日にしようと決めていました。

5月10日です。

たくさんの大切な方々に、あたたかい祝福をいただいて...

今日が、人生でいちばん幸福な5月10日となりました。

本当はやらなきゃいけないコトが山積みなのですが(汗)、
今夜はこのまま、
今日しか味わえない、いまこの瞬間の幸福感にひたって、唯、ボーっとしていたいと思います。

明日からは、戦場です。
わたしにめちゃ似合わぬ言葉ですが(笑)、そのくらいの強い気持ちで頑張ってゆきます。

今日味わいつくした幸福感を、エネルギー源として。

月並みなことしか云えないけれど、
いつだってみなさんには、この言葉しかないから...心から、心から...

”ありがとう”。

必ず、仕事でみなさんのお気持ちに応えられるよう、日々精進してゆきます。




2014年5月4日日曜日

日曜小美術館94・文学のなかの芸術観①

”智に働けば、角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。
 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画が出来る。
(中略)越すことのならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろげ)て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。...”

~夏目漱石・「草枕」の冒頭~

この一文とリンクして、画の学校の先生がこんなことをおっしゃっていたのを思い出します。

「これから生きてゆく中で、美しいモノが解るようになるということ。
それによって、人生が楽しくなるということ。
それが、アートを学ぶことの本当の意義だよ。」

ハタチと少しばかりだった当時のわたしには今一つ理解できなかったのですが、
この年齢になって、やっとこのときの先生の言葉が心に沁みるようになりました。

つらいことにぶち当たった時、いつも自分に問いかけます。
「つらいから、逃げちゃう?」

答えは、NO。

「じゃあ、どうする?」

...

「逃げないで、受け止める。頑張ってみる。
その過程が少しでもたのしくなるように、工夫しながら。
どうせやるなら、笑顔で乗り切ってゆけるように。」

そう。アートってきっと、そんな日々を応援してくれるモノなんです。
つらいとき、悲しい時、美しいものに触れると、心がほどける。
素敵なものに刺激を受けて、頑張るエネルギーが湧いてくる。

なにも、しゃっちょこばったものじゃない。

人と人とがエールを送りあうための、コミュニケーション手段...なのだと、
わたしは理解しています。