数日前に降ったまだ僅かに溶け残る雪を眺めていたら、川端康成作・「雪国」のなかの大好きな、美しい一節のことを書いてみたくなりました。
~自分の縮を島村は今でも「雪晒し」に出す。誰が肌につけたかしれない古着を、毎年産地へ晒しに送るなど厄介だけれども、昔の娘の雪ごもりの丹精を思うと、やはりその織子の土地でほんとうの晒し方をしてやりたいのだった。深い雪の上に晒した白麻に朝日が照って、雪か布かが紅に染まるありさまを考えるだけでも、夏のよごれがとれそうだし、わが身をさらされるように気持よかった。~
布って...本来、こんな風に大切に大切に愛でられるべき存在なのですね。
作り手の苦労に思いを馳せ、ねぎらうように大切に扱い、厄介と苦笑しつつも手を掛けて慈しみ、やがて愛着を増し、時に自分の在りかたさえ重ね合わせたりしながら、永く一緒に歩んでゆく...。
”言葉の色彩”の圧倒的な美しさとともに、グッと胸にせまってくるものがありました。
服、織物、編物、帽子、人形、袋物...
私の友人・知人には、なぜか”布”作品を作るひとがとても多いのです。
それぞれの作品は個性と愛情に溢れ、みなそれぞれに本当に素晴らしい...。
リスペクトを込めて。
今日の”読書crazy"は、そんなみんなへの、ささやかなラブレターです(^^♪
機会があったら「雪国」、是非手に取ってみてね。
みんなの作品、いつも本当に楽しみにしてるよ。
こんな風に、末永く大切にするよ。
頑張ってね。