「まい小部屋」はじめのページの”今月のごあいさつ”に書いたとおり、
いま、わたしは古本屋さんにはまっています。
はまっているといっても読書スピードは早い方ではないので、
だいたい文庫本を1週間に1冊読み切る感じ。
そのくらいが、今の自分には無理なく楽しめるちょうどいいペースみたいです。
先週読んだ1冊は、こちら。
吉行淳之介 著 「男と女の子」 (中公文庫)
吉行作品の好きなところは、淡々と静かな物語のなかにかいまみえる、
繊細なこころもようの描写。
表題作のほかに3つの短編が収録されていますが、
どのお話も、決してドラマティックではありません。
地味といえば、とても地味。
けれど、
誰のこころにも息づく瞬間がきっとあるはずなのに、
多くの場合、気づくことさえなく流れて行ってしまう
(...というか、無意識のうちにあえて気づかないようにしているのかも...)
たいせつな気持ちを拾い上げ、すてきな言葉で表現している。
そこに、とても惹きつけられます。
吉行作品がちゃんと心に沁みてくるときは、
自分のこころもようもまた、そうわるくないコンディションなのだ、と
そんなバロメーターにもなってくれるのです。
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