2014年8月4日月曜日

読書crazy⑳・吉行作品~こころもようを読む。

「まい小部屋」はじめのページの”今月のごあいさつ”に書いたとおり、
いま、わたしは古本屋さんにはまっています。

はまっているといっても読書スピードは早い方ではないので、
だいたい文庫本を1週間に1冊読み切る感じ。
そのくらいが、今の自分には無理なく楽しめるちょうどいいペースみたいです。

先週読んだ1冊は、こちら。



吉行淳之介 著 「男と女の子」 (中公文庫)

吉行作品の好きなところは、淡々と静かな物語のなかにかいまみえる、
繊細なこころもようの描写。

表題作のほかに3つの短編が収録されていますが、
どのお話も、決してドラマティックではありません。

地味といえば、とても地味。

けれど、

誰のこころにも息づく瞬間がきっとあるはずなのに、
多くの場合、気づくことさえなく流れて行ってしまう
(...というか、無意識のうちにあえて気づかないようにしているのかも...)
たいせつな気持ちを拾い上げ、すてきな言葉で表現している。

そこに、とても惹きつけられます。


吉行作品がちゃんと心に沁みてくるときは、
自分のこころもようもまた、そうわるくないコンディションなのだ、と

そんなバロメーターにもなってくれるのです。


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