今年の読書テーマのひとつは、”何となく苦手意識のある作家さんの作品”を読むこと。
第一弾は、瀬戸内寂聴さん。
今回読んでみたのは、昨年映画化もされて話題になった「夏の終り」という作品。
面白かったです。夢中になって、一気に読んでしまいました。
でも...
結論から言うと、やはり...ちょっぴり苦手、かな(笑)。
"苦手"という感想を持つことも、わたしのなかでは立派なリスペクトなのです。
何も心に留まるものがない面白くない作品ならば、決して出てこない感想ですから。
面白い・面白くないということとは無関係に、作品との相性というものはあると思います。
わたしの場合、恋愛小説に関しては特に合う・合わないが顕著。理屈ではないようです。
いわば生理的な感覚...なのかな。
残念ながら”苦手意識”を払拭することができなかった「夏の終り」でしたが、
ひとつ、とても心に響き、共感した素敵な個所がありました。
主人公・知子が8年間続いた妻子ある男性との関係を清算し、苦しみから懸命に立ち直ろうとしているラスト近く。
知子が家の雑用や仕事に追われることで、あれほどの涙を忘れてしまっていったのもつまりは、生活という雑事と習慣の繰り返しが、意外な強さで人間の感情や感傷を、のみこみ押し流していくせいなのかもしれなかった。
淡々とまじめなであることの強さ。
「日常」をつまらないとばかにしないで、積み重ねること。
それが、どんなにつらいことからも、人を救うと信じています。
”苦手”からも、”好き”からと同じように、学ぶところが沢山ありますね。
2 件のコメント:
すばらしい読書テーマですね。好きなものだけを読んでいると、表現がだんだん似てきてしまう。やっぱり好悪広く読んで、感じ方や表現の仕方を限定しないことは大切ですね。自分、やってないですけど…。
日常が強い、というのもわかります。どんなに悲しくても、やがて空腹を感じ、雑事に迫られ、非日常な生活から元の日常に戻っていけます。でもこれ、自分で経験しないと納得できないことなんでしょうね。最初は悲しいときにお腹空く自分が許せなかったりして。
あ、長くなっちゃった。
モルペンさんへ。
わたしはバランス感覚の悪いヒトなので、あえて苦手なものにも触れておこう、と意識しているところがあります(笑)。
うんと若い時は、「悲しい時にお腹空く自分」許せなかったなぁ。
でも今は、そんなときこそぱくぱく食える図太さを、「えらいぞ、自分!」って褒められるかも...(笑)。
絶対、人って強いんです^^。
日常を大切にしていれば大丈夫、ですよね!
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