2011年12月6日火曜日

”役に立たない”、もの。

以前、木工でオブジェを作っていらっしゃるアーティストさんが、
「僕は、”役に立たないもの”ばかり創っているんですよ。」とおっしゃいました。

なんともいえない素敵な笑顔で、そうおっしゃったのです。
その表情から、”役に立たないもの”という言葉の本当の意味が、すぐに理解できました。

彼の云った”役に立たないもの”は、きっと、目には見えない”ゆとり”、”ゆたかさ”、”いやし”、”やさしさ”...そのような、もの。

本でいえば、”行と行との間にある”、もの。

もっとひろくいえば、”人と人との間にある”もの。

”あるべき”もの。

それは、見えないだけに、時に忙しさに負けて忘れてしまいそうになるけれど、すごくすごく大切な、もの。

それがすっかりなくなったら、たぶんひとは、お金があっても、ごはんがあっても、生きてゆけないでしょう。

絵も、そのような、もの。

いつもそう心に留めて、誠実に描いてゆきたいです。

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